関西地域の気になる木をはじめ、様々なグリーンスポットを取材・調査するコーナーです。

Vol.6 須磨 現光寺のシイとイチョウ

 須磨の駅から歩いて8分くらいの場所に、藩架山(ませがきざん)現光寺はありました。

まず目に飛び込んで来たのは、歩道を挟み込むようにそびえ立つ2本のシイノキの大木でした。

道路側のシイノキは木の高さの半分位まで大きく修復された痕があり、また境内から道路を見下ろしているどっしりと構えたシイノキにも枝を大きく切った跡が見られます。

痛々しいまでの姿をさらしている巨木ですが、その生命力の大きさもあってか、お寺の周りの道路には、他には無い、神秘的な雰囲気を醸しだしていました。

境内に入り、木の脇にあるベンチに腰を下ろすと、シイノキとイチョウの2つの巨木によって作られた気持の良い木陰で、夏の暑さ(取材に行ったのは7月)を和らぐことができました。

震災により建てなおされた本堂と、変わる事無く立ち続ける巨木。時間差の大きい2つのものが1つとなり、現光寺の色を作り出している気がしました。


この現光寺は3本のシイノキと1本のイチョウが神戸市民の木に指定されています。先に紹介した2本のシイノキのすぐ先にイチョウの木、その先にもう一本のシイノキがあります。

シイノキが枝を四方に伸ばしているのとは対照に、イチョウの木はその樹種が特徴として持つように、まっすぐに、太い幹が天にむかって伸びています。

樹齢は定かではありませんが、この大きな木々が街のシンボルとなっていることに間違いはないでしょう。

市民の木に指定された木以外にも、境内には本堂に向かって斜めに伸びる松などさまざまな木がありました。


お寺の方に巨木について伺った話によると、道路脇にある木は昔はすべてお寺の境内地にあったそうです。

しかし千守線道路の拡幅工事のため境内地が変化し、今は神戸市の土地になりました。

高さの半分位まで大きな傷跡を持つシイノキは、20年程前に幹に空洞ができ樹木医の治療を受けたそうです。

阪神淡路大震災時に、お寺の本堂は倒壊していまいましたが木の損傷はほとんどなかったようです。

しかし、道路復興工事の際に矢板を打ち込んだことにより、1本の巨木が枯れ、今残っている樹勢が衰えてしまったようです。

樹木にとって土壌養分や水を吸いあげる根は生きるために重要な部位ですので、矢板により根が傷ついてしまったのでしょうか?
現光寺は源氏物語の光源氏の住居跡として伝えられ、お寺の入り口には『源氏寺』の石碑があります。また境内には松尾芭蕉の句碑もあり、その歴史の古さを物語っています。長い年月お寺とともに成長してきた巨木も、現光寺の歴史そのものとなっているのでしょう。

イチョウの木は秋にはたくさんの銀杏の実を付けるそうで、近隣の住民さんの楽しみにもなっているようです。街の人に愛されながらいつまでもその樹形を保ち、癒しの空間であり続けてほしいと思いました。




アクセス

JR「須磨駅」下車 東へ国道北側に沿って徒歩8分

~Dr.フジワラに聞いてみよう~
ここからはこんな心配な点も含めてDr.フジワラにこの木を解説していただきます。

■寺の前の道路拡張工事のために矢板を打ってから樹勢が衰えたようですが、どのようにしたらもとの勢いを取り戻すことができるでしょうか? 

矢板を打つということは根を切る事を意味します。根をかなり切ってしまったのなら樹勢は元には戻らない、というのがまずは結論。根を切ると、水分・養分などの吸収ができなくなって樹勢に影響が出るのと、切り口から入った菌によって腐朽が始まる事で樹木に影響が出る、ということが起こります。少しでも良い状態にするには、現在の残った根系の勢いをよくするための土壌改良と、切った根の部分に防腐などの処置をしておく事が重要だと思います。

矢板:土木工事の際に掘削によって出来た土壁が崩れないようにおさえる板

Profile

藤原 圭介(ふじわら けいすけ/Keisuke Fujiwara)
日比谷アメニス 大阪支店勤務
入社後10数年間は現場職。その後営業職で現在に至る。
樹木医資格所得は14年前。
樹木医資格を活かし、街路樹診断などの業務を開拓中。


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